- 『女子も官能小説を読む時代だ!』
官能小説が中〜高年男性のものだったのはもう10年以上前のこと。
ということで、今”女子に人気の官能小説”を探りつつまとめてゆきます。
今、女子に人気の”官能小説”はコレだ!
先輩と私
- 著者:森奈津子
- 出版社:徳間文庫
- 発売日:2011/5/15
- 内容
- T女子大学好色文学研究会の会員・光枝は、会長の阿真理先輩(ロリ巨乳系)に淡い恋心を抱いている。それを知ってか知らずか先輩はつれなくて、オナニーによる女性の真の自立と解放を叫ぶのみ。光枝は仕方なく、エッチな小説を書いて自らを慰める、しょんぼりな毎日。そこへライバルサークルの会長、華代の魔の手が。笑いとエロスが奇跡の融合を遂げた、著者の真骨頂。女だらけの官能小説。
女子が読む官能小説の中でも人気上位にくる”森奈津子”。
”百合”ものが多いということで興味のある方にはぜひ一読いただきたいところ。
”先輩と私”の口コミ・レビュー
「強烈なSM百合、なのに笑える
表紙の女の子がエロい(おっぱいが強調されている)けど、官能ともR18とも書いていない。
普通の小説と並べていいんだろうか。好色文学研究会の光枝は先輩の阿真理に憧れているが、オナニー主義者のフェミニストである先輩は、
光枝の気持ちに気付いてくれない。ある日、ライバルのエロティック文学研究会から甘い誘いの手が伸びる。
二組の創作サークルを舞台とした乱交SM百合曼荼羅が展開する。濃厚にエロいのに、明るくて笑える。
SMにつきものの陰惨さが、まるでないのだ。内容も面白いが、作中作が気になる。
美人夜鷹姉妹が船まんじゅうや比丘尼との異種官能技戦に挑むとか、四肢切断マニアが「私を丸くして!」とか、
読んでみたくなりませんか。 私だけかな。
最終章は笑いながらちょっと感動した。」
「華代先輩が…。
この作品は登場人物がたいへん個性的で面白かったです。
百合官能小説を書くことには真剣でこだわりがあるが恋愛にはうぶな阿真理先輩。
阿真理先輩一筋ではあるがエロ研部員の性的誘惑にあらがえない光枝。
エロ研をハーレム化して会員たち(プラス光枝)に甘美な性的よろこびをあたえる華代先輩。
女戦士のように猛々しいエリィさん。
他の三人は置いとくとしてこの4人の女性は本当に魅力的で、ある人は美しく、またある人は可愛らしくて、
とても萌えました。
あと、好研とエロ研の対立という構図も非常によかったです。
官能小説を書くことに対しストイックで真面目な好研と小説を書くことよりレズセックスが大事なエロ研の対立は
その狭間で揺れ動く光枝(主人公)の視点に立って見るとどちらも魅力的で、でもどこか抜けてる感じがして
光枝が恋愛と性愛のことでこの二つの同好会の間で葛藤するのも納得できると思いました。
ですが、一つだけ気に入らないことがあります。
それは華代先輩がゆりちゃんとじん子の手によって監禁され性的奴隷にされてしまったことです。
この展開だけはどうしても受け入れることができませんでした。
華代先輩におかれては常に女王様であり、お姉さまであり続けてほしかったです。」
「エロくて、笑えて、勉強になる…ある意味、万能小説なのでは?
哲学的百合小説「 君が僕を‾どうして空は青いの?‾ (ガガガ文庫) 」をAmazonで購入する際に「お勧め作品」として紹介され勢いで購入した作品だったのだけど…
見事なまでに方向性が180度逆向きな作品だった事でビックリした、ついでにこれが18禁指定されて無い事にもう一度ビックリした、エロいぞこれ!物語の方はT女子大学の一年生・秋吉光枝がポルノ小説を執筆しながら、自分の書いている作品「カレン姫の秘密の冒険」の内容に興奮し自慰行為に耽っている
とんでもない場面から始まる。彼女の書いている小説は大学のサークル「好色文学研究会」の会誌に掲載されるのだけど、光枝は二人だけのサークルの会長・羽田阿真理に
密かな想いを寄せている。しかし阿真理は「自慰行為で性欲を満たす事で女性は男性に頼らず自立できる」と主張する熱狂的オナニスト。そんな先輩に想いを告げられずに
悶々としていた光枝だがライバルサークルの会長の罠にはめられ阿真理の肉体を絶頂に導いた事から彼女の日常はレズビアンセックスの方向へと導かれ…」
その業界では”知らない人はいない”とまで言われる”森奈津子”さんによる作品。
ちょっと笑えるけど、しっかりツボを突くあたりが受けている印象。
特に女性ファンが多いのもうなずけます。
少女妄想中。
- 著者:入間人間
- 出版社:メディアワークス文庫
- 発売日:2017/3/24
- 内容
- 「こういうのが初恋なんだなって、思いましたっ」 いつも背中を追いかけていた、あの人への『憧れ』。夢の中で一緒に過ごした、海辺でのあの子との『友情』。傷つけてしまったあの人への、伝えられない内緒の『想い』。私の好きな人は、私以外の人も好きなのだろうか。たくさんの人と物の中で、その女の子を好きになっただけ。もどかしい想いを描く、少女たちの可憐な物語。
”少女妄想中。”の口コミ・レビュー
「好き
考えながら読んで行きましたが、話同士が繋がっているような、繋がっていないようなそんな不思議な感覚でした。最後のエピソードはすごくぐっときました。年の差とか最高(離れすぎている気もするけど)、大人と子供のやり取り見てるとなんか和みました。最後の結末もbad endingではないので、安心して読めました。」
「読後感が最高!
仲谷先生がブログで勧めていたので読みました。読んで正解でした。
詳しくはネタバレになるので避けますが、他の方も言っている通り読後感が素晴らしい
良い意味での背徳感もあります。ぜひ百合好きなら読んでほしいと感じました。
ところで、百合と言う割に儚さがない、といっている人は普段どんな切ない作品を読んでるのでしょうか。
喪失感や儚さを感じられる部分も多くある作品かと思うのですが…」
「中身のある小説
3章だけでもこの本を買って正解だったと思える。入間人間先生の文章は自分の中で映像化しやすい。そしてかなり深いなぁと思わせられる。今回の小説も色々なところに考えさせられる文章が散りばめられていた。「いくら相手のことを想っても、考えてしまえば自分が基準になる。」や「今、目の前にあってそこに感じること以外に確実なものはないのだった。たとえそれが夢であれ、現実であれ。」などすごく良いな。と思えた。」
”百合もの”として人気となっている本作。
比較的最近の作品ということですが、口コミ数が多く評価も高い作品になっています。
女の庭
- 著者:花房観音
- 出版社:幻冬舎文庫
- 発売日:2015/8/5
- あらすじ
- 恩師の葬式で再会した五人の女。「来年も五山の送り火の時に逢おう」と約束をする。一年後、女たちは変わらない街で、変わらない顔をして集まるはずだった…でも。決して口に出せない秘密が平凡な毎日を少しずつ変えてゆく。
”女の庭”の口コミ・レビュー
「官能小説であることを忘れてしまう
こう書くと、この本が読まれなくなるかもしれないけど、でもやっぱり読んでほしいので書きます。5人の京女の(あるいは教授の奥さんもいれて6人の)の話しです。よくあるパターンと言われればそうかもしれませんが、そこを詠ませるのが作家の力だと思います。ちょっといやらしい気分に浸りたくて詠んだのですが、官能小説ということを忘れて読んでしまいました。官能シーンはえげつないほどの表現で書かれています、でも興奮はしませんでした。話しに引き込まれてしまったのです。官能部分は話しの中の一場面として存在してしまっています。
かなり昔観た「クラッシュ」という映画を思い出しました。その映画はたとえ芸術作品でもヘアーが見えるなどもってのほかという大昔の時代なのに、なぜか堂々とヘアーが映っているのです。それとセックスシーンを期待してDVDを買ったのですが、俳優の演技の見事さと映像の魅力さに引き込まれて、思わず続けて2回観てしまいました。この小説もそんな感じです。」
「引き込まれて一気読み
女の情念というか、業というか。引き込まれて一気読み。
大学時代の同級生5人の女性が、ゼミ教授の葬式で再会。教授とSEXしていたのは誰だったのか、を一つの謎として、再度集まるまでの一年を、それぞれの視点で、それぞれの想い・生活・行動を、主に官能を絡めて描く。謎解き、人間関係がスルスルと解けていくカタルシスあるのだけど、それ以前に「人の業」にお腹いっぱい。
官能小説、って言う解説(Wikiとか)も有るけど、所謂その手の官能小説とは全く違います。テーマの中心に官能が据えられているのは確かですがね。」
「質の高い官能
精神的な描写も含め他の官脳小説とは一線を画する。そして、小説としては、その官脳部分が他と比較して深みを与えている。普通でない事が身近にある、皮膚の下に皆持っている。そんな事を描いてくれている。」
女流官能小説家の中でもトップテンに入るとも言われる”花房観音”の作品。
愛読者の口コミを見るだけでも興味をそそりますね。
指づかい
- 著者:うかみ綾乃
- 出版社:幻冬舎
- 発売日:2014/2/14
- あらすじ
- 打ち寄せる快楽の苛烈さに、灯子は全身をよじらせ身悶えた。彼女が愛するカメオを彫る岳生の繊細な指は、溢れだす愛液を絡め取りながら、激烈な快感を刻み込んでくる。「欲しい…」。喘ぎながら訴えた。「まだだよ。もっと灯子の肉体を苛めたい」。カメオ職人の瀬能岳生と、彼に惹き寄せられた女たちの、切なくて狂おしい情交を描く長篇官能小説。
”指づかい”の口コミ・レビュー
「ちみつ
一人の男性をめぐる4人の女性の物語。 女性達のそれぞれの内に抱える事情や感情の錯綜が緻密に描かれていて、どれも哀しく切ない。精密に練り上げられた登場人物のバックグラウンドと情事のエロティックさが上手いと思った。」
「思い込みって・・・
タイトルを見て女性のオナニーを描いた物かと勝手な思い込みで買った点では大変裏切られましたが、何の思い込みもなく買っていれば間違いなく星五つでした。しかし、これがデビュー作とは」
「美人作家
うかみ綾乃女史は日本文壇きっての美人ではないだろうか、美人にして妖艶。
その美しい女流作家が官能小説を執筆して、性描写を綿密に描くのだから、
ファンにとっては生唾ものである。純文学など求めないで、あくまでも官能小説で、
いってほしい。
写真集なども期待しています(余談)」
著者紹介を見ると
作家、ミュージシャン。
と、なかなかに面白そうなお方。
デビュー作となる本作からファンになる方は多いようです。
ほしいあいたいすきいれて
- 著者:南 綾子
- 出版社:新潮社
- 発売日:2007/2/21
- 内容
- あたしは明日、風俗嬢になる。一年後には何になっているだろう。せつない気持ちが爆発する、官能度200%の恋愛小説。第4回「R‐18文学賞」大賞受賞作を収録したデビュー作。
”ほしいあいたいすきいれて”の口コミ・レビュー
「若手女性作家で一番かも
とても面白く読みました。個人的にR18文学賞には注目していて、受賞作家の本はほぼ全作品読んでいるのですが、
個性的な賞のわりに、ありきたりな話を書く人が多いなあと思っていました。
そんな中で、この小説はかなり異質です。
作者は他の受賞者に比べるとまだあまり活躍していないようですが、
実は飛びぬけて才能のある人なのでは、と思いました。
タイトルのインパクト抜群の表題作は、彼氏のために風俗嬢になるべきかうじうじと悩む主人公が、
ひょんなことで知り合った少女が性的虐待を受けているとしり、
なんとか救い出そうと奮闘する、というストーリーです。
この主人公のキャラが本当に素晴らしく面白い。
「なんてバカな女なんだろう!」と読んでいてイライラしてしまうほど、
主人公はいい加減でちゃらんぽらん。
男には簡単に騙されるし、自分の仕事すら自分で決められずうじうじする。
でも読んでいるうちにいつの間にか応援してしまっているのです。
話の流れはスピーディですごく上手いし、
コミカルな展開の中でふいに現れる詩的な風景描写がすごく生きてると思いました。
そしてラストはかなり衝撃的。
私はクライマックス部分を読みながら声を上げて笑ってしまいました(いい意味で)。
とにかく今まで読んだことのない小説かも。
作者にはこれからもどんどん「誰も読んだことのない」話を書いていってほしいです。」
「好き嫌いがハッキリ分かれる作品
皆さんの評価が良さそうなので気になり読んでみました。
正直なところ、何が良いのかサッパリ分かりませんでした。まずキツイことを言うようですが、文体が小学生の作文かと思うようなレベル。
「ぼぼぼぼ」とか「ぐああああ」とか、本当にこのままの表現です。
それが味というならば、私は好きにはなれませんでした。また、収録されている2作品共に、主人公があまりにだらしなくて共感ゼロ。
行方知れずの人間の住所をあっさり入手する場面も非現実的。
個人情報保護の関係で、そんなこと無理でしょうに……と冷めてしまいました。
詳細部分での辻褄が合わないと、読者は白けてしまうと思います。ただ、こういう文体は好みがハッキリ分かれるのかな、とも思いました。
ここでも良い評価があったり、実際にR-18文学賞で大賞の作品でもあるので、
「これが最高」と思う人も沢山いるのでしょう。
個人的には、なんでこれが受賞作なの?という感想です。
設定の斬新さ(も微妙ですが)だけで、強行突破したように思えます。暮らしも性格もだらだらした女性に共感したかったり、
心が躍ったり沈んだりするような繊細な文体ではなく、
通勤通学途中にさ〜っと読みたいだけの方には向いてると思います。」
「若手女性作家で一番かも
とても面白く読みました。個人的にR18文学賞には注目していて、受賞作家の本はほぼ全作品読んでいるのですが、
個性的な賞のわりに、ありきたりな話を書く人が多いなあと思っていました。
そんな中で、この小説はかなり異質です。」
愛読者の口コミを見ると意見が真っ二つに分かれる印象。
気になる方はぜひ一読いただきたいところ。
ホテルローヤル
- 著者:桜木紫乃
- 出版社:集英社
- 発売日:2015/6/30
- 内容
- 北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く―。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昴揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。第149回直木賞受賞作。
”ホテルローヤル”の口コミ・レビュー
「構成の面白さ
北海道にある一軒のラブホテルを舞台に、時代をさかのぼっていく展開がおもしろいです。登場人物の教師と女子高生がなぜ心中に至ったか、の説明がされていないのですが、それがかえって想像させてくれ、効果的だと思いました。」
「可笑しくも哀しい
ラブホテル、その存在自体が可笑しくて哀しいものだと思う。
釧路の湿原を見渡す小高い丘にあったホテルローヤルに関わった人々の人生もまた、可笑しくも哀しくていとおしい。
人間の弱さと優しさが全ての作品から伝わってくる佳作でした。」
「現在から過去への短編集
テレビで著者が出演しているのを観て興味を持ち レビューを観て短編が現在から過去に並べられていると知った上で読んだのは良かったと思います。著者と同じ年代になっていますし いろいろ思う事がありました。釧路にも興味がありました。私は「せんせぇ」が一番面白かったです。切ない話なのに 面白い女子高生の描写に楽しくなるのです…」
”官能小説”のくくりで読むと少々物足りない内容でしょうか。
それでも、本作で”第149回直木賞”を受賞するなど、人間模様や他人の性環境を覗き見る感覚で読むとおもしろいのではないでしょうか。
女子が読む官能小説
こちらの本、人気というか”官能小説”に長けた方が出版なさっている本。
これをガイドとして活用することで”官能の世界”に入りやすくなるとコメントする方は多いです。
- 著者:いしいのりえ
- 出版社:青弓社
- 発売日:2014/4/23
- 内容
- 女子だって官能小説を楽しみたい!女子の性のホンネに迫った官能小説や女子目線のエロスが詰まった一般文芸など300冊以上を読み込んだ著者が60作品を厳選してその魅力を紹介。フツーのセックスのリアル、セックスだけではない性愛のカタチ、アブノーマルな性癖、危険な性関係など、お好みの作品がきっと見つかる官能小説への招待状。
”女子が読む官能小説”の口コミ・レビュー
「背徳感というありきたりな表現で片付けるほどたやすくなく、本書を読めば多種多様。個人的には三十歳処女や作家サタミシュウが気になる・・・。官能小説というより物語としていくつか読んでみたいと思わされました。」
「女子が読む官能小説
女性作家の作品の方が感傷が伝わってくるので女性には面白いと思います、
男性作家の作品にでてくる表現が古めかしくて型にはまっている感じで陳腐。
若い女流作家の作品なら読んでみたいかも。」
「女性読者の方がエロい
この本を読むと、いかに女性読者の方が『濃い』物を求めているかわかる。
とくに著者は心理描写が巧みの作品を上げていると思うが、エロティズムの基本はたしかにそっちだと思う。」
冒頭でも見たように
300冊以上を読み込んだ著者が60作品を厳選してその魅力を紹介
ということで、
「官能の世界に興味あるけど、、どれから読んだらいいんだろう。。」
という方にぜひ手にとってほしいと言われています。
まとめ 女子だって官能的にエッチになってもいいんだよ
ここ5年くらいネットインフラの普及とともに女性の”性”・”エロス”も知れ渡り、”女性用の性玩具”も目まぐるしく普及しながらその数を増やしていると言われています。
そんな中で、”官能小説”もそれまで”おじさんのもの”とくくられていたが、今では女性も手軽に手にとり多数の方がその感情を開放しているとも言われています。
これも電子書籍の発展によるものなのでしょうか。
これら”官能”の世界に、興味がある方、まずは一冊手にとってみて読んでみてくださいね。
きっと新しい己を再発見できることでしょう。